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2018年、漫画家の山本さほさんが世田谷区から受けた不適切な扱いを漫画にしてSNSに投稿したことで、問題が炎上し、世田谷区への批判が殺到しました。しかし、この炎上は次第に過激化し、**ネット私刑(晒し上げ)**という形で問題の職員にまで及びました。本記事ではこの事例を踏まえ、2024年時点でのネット私刑の課題と背景についても考察します。
山本さほさんの炎上事件:経緯と展開
山本さんは、世田谷区のオーストラリア交流ワークショップに協力した際、区役所の不手際に直面しました。事前に渡したデータの紛失や、区側のミスで発生したキャンセル料を山本さんの謝礼から差し引くという信じがたい対応がありました。これを漫画にしてTwitterで公開した結果、瞬く間に拡散し10万リツイートを突破。世田谷区長が謝罪に追い込まれる事態となりました。
ネット私刑の本質と懸念
1. 弱者を守る手段としてのネット私刑
- 山本さんのように、公的機関や強い立場の人への不満がある場合、ネットを利用して一矢報いることができます。
- 過去には、学校の体罰やハラスメントの被害者が、ネットでの告発により救われた事例もあります。
2. 過剰な攻撃のリスク
- 問題の当事者同士が和解した後も、ネットユーザーの一部が暴走し、職員の個人情報を特定して晒し上げる行為が行われました。これは、明確な人権侵害であり、批判されています。
ネット私刑の2024年の課題と現状
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SNSでの匿名性と責任の欠如
- 2024年現在も、ネット上では匿名性を盾にした晒し上げが後を絶ちません。こうした行為は被害者の心身を蝕むリスクがあり、問題視されています 。
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法の対応と限界
- 法律では、ネット上の誹謗中傷や人権侵害に対して刑事罰や損害賠償請求が可能ですが、法的手続きの煩雑さが被害者の救済を遅らせることもあります。
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ネット私刑が消えない理由
- 多くの人が、公的機関の不正に対して適切な対応が取られないことへの不満を抱えています。そのため、法の対応が不十分な場合、ネット私刑が**「最後の手段」**として用いられることもあります 。
ネット私刑とマスコミ報道の違い
ネット私刑が個人の制裁であるのに対し、マスコミは報道の名の下でプライバシーを暴露することが少なくありません。これもまた批判の対象です。ネットでは「加害者の責任を問う」行為が支持される一方、マスコミが被害者を報道する姿勢には不信感が強まっています。
まとめ:ネット私刑の是非と今後の課題
ネット私刑は、法が機能しない場面での弱者の声を可視化する手段となる一方、無関係な個人への過剰な攻撃を引き起こす危険もあります。私たちは、法的な手段と冷静な判断をもって問題に向き合うことが重要です。