トモーヌのひとりごと

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「請負」の看板を掲げれば合法? それ、甘すぎます。偽装請負を分かりやすく整理する

偽装請負

「請負契約です」と書いておけば請負になる。
そう思っているなら、認識がかなり雑です。法律は看板ではなく、中身を見ます。厚生労働省も、請負か派遣かは契約の形式ではなく実態で判断するとはっきり示しています。

まず結論から言います。
雇用契約は“人を使う契約”で、請負契約は“仕事の完成を頼む契約”です。
民法では、雇用は「相手方に労働に従事させ、その報酬を払う約束」、請負は「ある仕事を完成させ、その結果に対して報酬を払う約束」と整理されています。ここを混同している時点で、契約の土台がグラグラです。

雇用契約とは何か

雇用契約は、会社が労働者を自社の指揮命令のもとで働かせ、その対価として賃金を払う関係です。
要するに、「何を・いつ・どうやってやるか」を会社が管理する前提の契約です。勤務時間、出退勤、配置、服務規律などを会社が管理するのは、雇用なら普通です。

だから雇用契約では、会社が「今日はこれをやって」「9時に来て」「この手順でやって」と言うのは当たり前です。
それで給料を払う。これが雇用です。ここに変な理屈は要りません。

請負契約とは何か

一方の請負契約は、仕事の完成に対してお金を払う契約です。
つまり発注者が買っているのは「人」ではなく「成果物」や「完成した仕事」です。厚生労働省も、請負のポイントは注文主と労働者の間に指揮命令関係が生じないことだと明示しています。

ここが一番大事です。
請負なのに、発注者が現場の労働者へ直接「これやって」「その順番でやって」「今日は残業して」と細かく指示し始めたら、もう請負の体裁が崩れます。請け負った会社が独立して仕事を回していないからです。

偽装請負とは何か

偽装請負は、書類では請負や委託の形を取っているのに、実態は労働者派遣になっている状態をいいます。東京労働局も、そのようなものは違法だと案内しています。

厚生労働省の整理もシンプルです。
注文主と労働者の間に指揮命令関係があるなら、請負形式でも労働者派遣に当たり得る。 それが、いわゆる偽装請負です。契約書に「業務委託」「請負」「準委任」と書いて逃げ切れるほど、世の中甘くありません。

一番分かりやすい判断基準は「誰が指示しているか」

難しく考えなくて大丈夫です。
見るべき点はかなり単純です。

発注者が現場の人に直接、業務の進め方を指示している。
発注者が出退勤や勤務時間を管理している。
発注者が配置換えや評価にまで口を出している。

こういう状態なら、請負ではなく派遣に近い。厚生労働省の区分基準でも、業務遂行の指示、労働時間の管理、服務規律や配置の決定などを請負事業主自身が行っているかが重要な判断要素とされています。

東京労働局も、偽装請負の代表例として、発注者が労働者に細かい業務指示を出したり、出退勤や勤務時間を管理したりするケースを挙げています。形式だけ責任者を置いて、実際は発注者の指示をそのまま伝えるだけ、というパターンも典型例です。

「責任者を1人置けばセーフ」は通用しない

現場にリーダーっぽい人を1人置いて、「うちは請負です」と言い張る会社があります。
でも、その責任者が単なる伝書鳩なら意味がありません。発注者の命令をそのまま末端に流しているだけなら、実態は発注者が指示しているのと同じです。東京労働局も、これを典型的な偽装請負パターンとして示しています。

看板だけ請負、実態は丸投げ指示。
それは賢いやり方ではなく、ただの雑なごまかしです。

「個人事業主にしたからOK」も雑すぎる

最近は、雇用契約を避けるために個人事業主扱いへ寄せたがる話もあります。
ですが厚生労働省は、偽装請負には、個人事業主への再委託を装っていても、実態としては労働者性が認められるようなケースがあると示しています。東京労働局も「一人請負型」を典型例として挙げています。

要するに、名刺だけ個人事業主でも、実際には相手の指示で働き、時間も場所も縛られ、代替性もなく、報酬も労務の対価そのものなら、「それ本当に事業主か?」という話になります。名前だけ変えても実態は消えません。

偽装請負がまずい理由

偽装請負が問題なのは、単に言葉の使い方が間違っているからではありません。
派遣と請負では、労働時間管理や安全衛生などについて、誰が責任を負うのかが違います。だから区分をごまかすと、責任の所在が曖昧になり、労働者保護が穴だらけになります。厚生労働省もその点をはっきり指摘しています。

「うちは委託だから知らない」
「でも現場の管理は発注者がやってる」
こんな状態は、都合のいいところだけ取って責任を薄めたいだけに見えます。契約実務としても労務管理としても、かなり危ういです。

ただし、安全のための指示まで全部アウトではない

ここは雑に断言しない方がいいところです。
発注者が請負労働者に直接話しかけたら何でも即アウト、というほど単純ではありません。厚生労働省は、災害時など緊急の安全確保のための直接指示や、労働安全衛生法に基づく必要な指導・指示については、それだけで直ちに労働者派遣事業と判断されるものではないと示しています。

つまりポイントは、
安全確保のための必要な指示なのか、業務遂行そのものを支配する指揮命令なのかです。
ここを一緒くたにして「一言でも話したら違法」みたいに語るのも、逆に無知です。

ありがちな勘違いを一刀両断しておく

「契約書に請負って書いてあるから請負」
違います。実態で見ます。

「発注者が現場で細かく指示しても、口頭だからセーフ」
セーフではありません。指揮命令の実態があればアウト方向です。

「責任者を置いてるから大丈夫」
その責任者が発注者の言いなりなら、飾りです。

「個人事業主扱いにしたから雇用じゃない」
名前を変えただけでは逃げられません。実態が労働者なら、その方向で見られます。

まとめ

雇用契約と請負契約の違いは、難しいようでいて本質は単純です。
雇用は、会社が人を指揮命令して働かせる契約。
請負は、独立した事業者が仕事を完成させる契約。
この違いを分からずに語るのは、交通ルールを知らずに道路論を語るようなものです。かなり危ない。

そして、請負の看板を掲げながら発注者が現場を直接回しているなら、疑われるのは当然です。
契約実務は肩書き遊びではありません。名前より中身。書類より実態。 そこを理解していないなら、経営だの契約だのを語る前に、まず基礎からやり直した方がいいです。